
SNSデジタルマーケティングを 成功させている無印良品から学ぶポイントを解説
無印良品はSNSマーケティングに比較的成功していると考えられています。
無印良品がどのようにしてSNSマーケティングを行っているか、成功のポイントはなんなのか。また、そもそもSNSマーケティングとはどのようなものなのか、といったことを解説します。
この記事が参考になり、SNSマーケティングが成功すれば幸いです。
SNSマーケティングとは
SNSマーケティングとは、企業がソーシャルメディアを利用しマーケティング施策を行うことを指します。
具体的には、一般的なマーケティング同様下記のようなプロセスを経て、営業活動を行います。
市場分析
主に、自社の属する業界に関する投稿など、情報収集を行います。
市場分析の方法はすでに世界中で多くの分析手法が、フレームワークとして存在するため、ある程度きまった手法で分析を行うことができます。
さらに、独自の分析なども加えることで、SNS上の自社が属する業界の分析を行います。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、情報を収集し分析を行い、市場をさまざまなセグメント(区分)に区切ることで、可視化します。
セグメンテーションで区切るのは例えば下記のような区切りの例があげられます。
- 性別
- 年齢
- 世帯の構成数
- 家族構成
- 世帯所得
- 職業
- 学歴
セグメンテーションで区切る際に、心理的なセグメントを区切るのは困難であると言われています、が昨今のSNSなどのビックデータの利用で精度が高まっていると言われています。
心理的なセグメントとは下記のようなセグメントです。SNSではこれらも分析できればとても良い成果が得られるかもしれません。
- ライフスタイル
- パーソナリティー
- 社会的地位
- 嗜好
ターゲティング
ターゲティングは、市場分析を行った上で自社ブランドや商品、サービスなどを誰に対し販売促進をするか決めます。
ターゲティングは市場の絞り込みとも言われているように、特に売り込む市場を明確にします。
これにより、その後の分析や戦略に具体性がでてきます。また、市場規模や市場の特性などが明確になるため、効率的なマーケティングを行うことができるようになります。
ポジショニング
ポジショニングは、ターゲットである消費者に自社ブランドや製品などの強みがどこにあるかを明確にする行動です。
基本的には競合他社の強みに対し、自社ブランドや商品がどのポジションにいるかを明確にし、強みとして打ち出すための活動です。
よく利用される、強みなどを2軸で分割したポジショニングマップなどで表されます。
例えば、1つの軸に価格が安価路線か高級路線、機能はシンプルか多機能であるかなどの2軸の図形に対し、自社がどこに位置しているかを明確にします。
競合に対し、中途半端なポジションで戦略を立てると目立たないばかりか、魅力が薄れてしまいます。
マーケティングにおいてかなり重要な施策であり、SNSマーケティングでも例外ではありません。
マーケティングミックス
マーケティングミックスとは、これまで分析してきた内容を踏まえ、具体的な戦略に落とし込むことを指します。
SNSマーケティングにおいては、KGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Performance Indicator)を知っていし、目標達成のためにどうすべきかを設定します。
例えば、SNSの主なKGIである「認知度」「売り上げ」「リード数」に対し、KPIは「フォロワー数」「インプレッション数」「エンゲージメント率」「いいね数」「コメント数」「ハッシュタグ利用数」「シェア数」「UGC数」「コンバージョン数」「登録者数」など、様々な数値目標が考えられます。
具体的な指標を決め、それには何をすべきかの戦略を立てます。
SNSマーケティングを成功させるポイント
SNSマーケティングを成功させるポイントはいくつかあります、全ての状況で当てはまるわけではないが、下記のようなことを考慮に入れ、マーケティング施策を行うと良い結果になりやすいでしょう。
市場分析
SNSマーケティングにおいては、各ソーシャルメディアの利用者数から利用時間などSNSに絡む情報を収集し分析を行います。
また、投稿データから特定の情報を収集するツールもありますし、自社で開発しても良いでしょう。
そして、SNSアカウントの運用やキャンペーンを通じ、独自の情報を収集することもできるようになります。
とにかく、SNSマーケティング市場を十分調査し、マーケティング施策に生かすことが望まれます。
ターゲットを明確にすると戦略を立てやすい
主に対象とするターゲットを明確にしておきましょう。
いわゆるペルソナを詳細に設定すると、とても具体的に施策を考えることができます。
どのような年齢でどのような職業の人が、どう言う目的で自社に興味を持つか、製品を使うか。
また、使うことでどのようになるか、など、細かく設定をするほど戦略に具体性ができます。
戦略に適したSNSを選択する
ターゲットや、取り決めた戦略に適したソーシャルメディアを利用しましょう。
例えばターゲットが10代だったとした場合、ほとんど利用していないと言われているTwitterやYouTubeなどでいくらコンテンツを作っても効果が薄いです。
ほとんどの10代はTikTokをみていると言われているので、TikTokを利用したマーケティング施策が適しているでしょう。
同じように、写真や画像により資格的に訴求したい場合にはInstagramを選ぶ。
こういった、用途や状況に合わせてSNSを使い分けて運用すると効果的なマーケティングを行うことができます。
SNSアカウント運用は専任か専任チームを割り当てる
SNSマーケティングを行う場合、投稿のテキストや画像、動画を作成する必要があり、通常の業務と兼任で行うのはとても厳しいです。
あまり計画なく投稿されたコンテンツはリスクの方が多く、おすすめできません。
きちんと専任を割り当て、できれば属人化しないチームで計画性を持って運用するのが好ましいです。
しかし、SHARPのような例外もあり、現状はわかりませんが担当者はチームではないようです。しかし、専任担当は必要と言えるでしょう。
ITリテラシーを身につける
アカウント運用時にもとても重要になることですが、運用担当者やチームがリテラシーを持っていることが不可欠になります。
SNSの炎上はどういう原因で起こるかわかりようがなく、投稿するコンテンツにはあらゆることへの配慮が必要です。
ITリテラシーがないと、とてもそういったことへ配慮することができません。
マーケティングへの知識も必要です。
代表的なSNSの種類
SNSマーケティングで言われるSNSは、基本的には国内で主に利用されているものを利用します。
FacebookやInstagram、Twitter、LINEなどが現在主流です。これらSNSの概要を紹介します。
Facebookは実名登録が基本、リアルで繋がりのある友人関係やビジネス関係で繋がっている利用が多いです。
年齢層は30代〜40代の利用が多いです。ユーザー数は2,600万人以上といわれています。10代にはあまり利用されていないようです。
投稿できるテキスト数や画像、動画はTwitterのように140文字までといった、短いコンテンツではないので、様々な表現を行えます。
フォロワーの投稿が時系列に並ぶわけではなく、Facebookのアルゴリズムでみたいであろう投稿が順に表示される仕組みです。
ファンサイトや企業サイトをアカウントとは別に作成できるため、コミュニティなども作ることができます。
世界ではとても多くのユーザーが利用しています。
Instagramは写真が中心のSNSで、「インスタ映え」と言う言葉がある通り、ほとんどの人が知っているサービスです。
日本国内のユーザー数は3,300万人くらいで、10代〜30代の女性がメインユーザーではありますが、男性や他の世代のユーザーの利用数も増えています。
元は写真がメインではありましたが、現在では動画や24時間だけ共有できるストーリーズ、ライブ配信の機能などもあり、機能も増えています。
自分のアカウントのトップページをどのように見せるかで、アカウントをうまくブランディングすることができます。
SNSでは「#」をつけた単語をハッシュタグと言い、ハッシュタグをうまく使うことで様々なカテゴリーで投稿を表示させることができます。
Instagramのハッシュタグの利用は特徴的で、他アカウントや過去のハッシュタグをみて分析すると良いかもしれません。
Twitterは140文字いないのテキスト投稿をベースに広がったサービスです。
今となっては、画像も投稿できたり、多人数で通話できる機能など、機能面での充実はしてきています。
しかし、ベースはテキストの140文字以内と言う手軽さから、即時性のある投稿が多く速報的な用途にあったSNSです。
国内ユーザー数は4,500万と、とても多く、10代〜30代までの利用が多いです。総数が多いため、40代以降の世代の利用も多いです。
基本的には、匿名で利用している人が多く、リアルとは乖離した空間として利用しているユーザーが多いです。
反面、あまり考えずにコミュニケーションが行われることもおおく、炎上することも多い印象があります。
リツイートや引用リツイートがとても気軽に行われるため、拡散のスピードはSNSの中でも特に早いです。
LINE
LINEはコミュニケーションツールの側面の方が受け入れられていますが、基本的にはSNSの機能を持っています。
アカウント自体は電話番号と紐づいていたりと、リアルであることが多いですが、オープンチャットなど、誰でも会話を見れる空間もあります。
利用者数が8,900万人と格段に多いです。コミュニケーションツールとして、メールのように使われているため、ほとんどの人が利用しているためです。
ユーザー層は全ての年代で利用されています。
LINEはオウンドメディアや決済システム、楽曲のサブスク、独自のアプリ実行環境など、特殊なSNSです。
無印良品のデジタルマーケティングのポイント
無印良品はSNSを含むデジタルマーケティングをうまく活用し、顧客に店舗へ足を運んでもらえるように成功しています。
また、Webサイトやアプリを通し、顧客からの情報収集をうまく行っている企業です。どのようなポイントが成功しているかをみていきましょう。
起業理念を常に発信
無印良品はSNSを含むデジタルマーケティングにおいても、企業理念のもとに活動しています。
無印良品の企業理念は下記のようにWebサイトに記載されています。
企業理念
無印良品Webサイトより
良品価値の探求 Quest Value
「良品」の新たな価値と魅力を生活者の視点で探究し、提供していく。
成長の良循環 Positive Spiral
「良品」の公正で透明な事業活動を通じ、グローバルな成長と発展に挑戦していく。
最良のパートナーシップ Best Partnership
仲間を尊重し、取引先との信頼を深め、「良品」の豊かな生活を広げていく。
そのため、オウンドメディアや専用アプリなどを通じ、「なぜその商品を作ったか」「どのようにして作ったか」などのストーリーを共有しています。
顧客との繋がりを確保
InstagramやTwitterなどのSNSを使い、顧客とのコミュニケーションに重点をおいています。
Webサイトには「IDEAPARK」というコミュニケーションの場が設けられています。
SNSのように、無印良品に作って欲しいものや改良して欲しい点などを自由に投稿することができ、誰でも見ることができます。
起業理念である「良品の新たな価値と魅力を生活者の視点で探求」するために、コミュニケーションツールを利用し、時にはサービスを作り実行しています。
商品を作った理由などを共有
無印良品では、商品を通して会社の理念を顧客へ伝えることを重視しています。
そのために、YouTubeなどで動画を作成したりします。商品への理念を顧客が共感し購入することで満足度が上がると考えています。
とにかく、一貫して「もの」作りへの理念を発信することで、企業の根強いファンを作ることに成功しています。
店舗に来店してもらう仕組み
無印商品では、Web上のECサイトでの売り上げだけを狙っていません。
実店舗へきて実物をみてもらい、実店舗を絡めた活動へ消費者を参加させる仕組みを作っています。
これは、ECショップやモバイルアプリを導入していたために分析できたための活動のようです。
ユーザーの分類としてネットショップ派と実店舗派に大きく別れるようであるが、購買額の大きい人は、ネットも実店舗も両方利用するユーザーに多いことがわかったことからによるものです。
ポイントまとめ
無印良品の仕組みをそのまま、他のブランドへ当て嵌めてもうまくいくとは限らないでしょう。
しかし、企業理念に忠実であることや、SNSやアプリを駆使して消費者を分析し、自社に一番良い戦略をねることが不可欠です。
2014年頃の構想では、無印良品を取り囲むアプリやオウンドメディア、SNSなどさまざまなデータを集積し分析をすることで。適切な情報を適切な用途で、適切なタイミングに消費者に伝えられるようにすることが目標としていました。
これら、明確な目標設定と企業のビジョンなどを元に行動することが成功のポイントではないでしょうか。
MUJI passportの成功
MUJI passportは2020年8月現在で4,937万ダウンロードされています。
無印良品を定期的に購入するような方は、インストールしておくととても便利なアプリです。
顧客側のメリットと無印良品側のメリットを見てみましょう。
顧客側のメリット
MUJI passportでは「MUJIマイル」というポイントを貯めることができます。
商品を購入する時意外にも、ポイントが付与されるタイミングがいくつかあります。
また、ネットショップと言うよりは、カタログとしての性質が強いアプリです。
買いたい商品の在庫を確認することも簡単にできますし、購入時で配送する時にいちいち住所を書く必要もありません。
キャンペーンなども通知機能ですぐに知ることができます。
クーポンなどを利用することができたり、何かと購入する際の特典があります。
無印良品側のメリット
無印商品でMUJI passportを利用する際、店舗にチェックインしたり商品を購入したり、何度かアプリを使う必要があります。
それにより、とても高い利用率を保つことに成功しています。
アプリを使うことで店への来店促進を図るとともに、有効な行動データを収集することに成功しています。
無印良品は、このアプリの顧客データと他のSNSの連携をすることで、会員情報を紐づけて、更なる分析に利用しています。
こういった方法で顧客を囲い込みたいのは、どの業種でも同じではありますが、無印はほぼ全てのカテゴリーの商品を作っていることや、早くから施策をしていたことで、うまくアプリとSNSを活用している企業の一つです。
MUJI Passportのポイント
MUJI Passportは顧客へ利用する十分なメリットを持たせることで、無印良品の基本理念である「良品」を探求するための情報収集をうまく行っています。
顧客目線で、商品のことについての意見を出すのではなく、顧客から直接意見を集めることができています。
通常では、なかなか商品のアンケートを集めることも難しく、集めた情報も偏った意見であることも多いです。
MUJI Passportを利用し、有益な情報を集めることに成功しています。
無印良品のマーケティング戦略から学べること
無印良品のマーケティング戦略からは学べることが多くあります。
やはり、SNSマーケティングといえど、企業の営業活動の一環であるため、企業の基本理念に沿った活動でなければ投稿内容やキャンペーン活動、広告に一貫性が保てません。
また、MUJI passportなどの運用から、とても精度の高い顧客情報を得て有効活用しています。
アプリを作るのが重要と言うことではなく、とにかく既存顧客から有益な情報得られる仕組みを作ることが重要です。
また、SNSだけではなくWebサイト常に交流できる場を確保しています。
無印良品はSNSマーケティングを行う際、SNSマーケティングだけで終わらせていません。
SNSマーケティングを、担当者や担当チームにだけ任せるのではなく、全社的に利用することが重要なのかもしれません。
企業がなぜSNSを利用し、どのような顧客をメインに、どのような目的で、何を行うかを明確に設定し共有しておくと良いでしょう。
まとめ
このように、無印良品はSNSマーケティングをうまく利用していることがわかります。
記事内で述べた成功のポイントなど、全てが他の会社で当てはまるわけではありませんが、参考にしてSNSマーケティングを成功させるヒントにはなると考えています。
この記事が参考になれば幸いです。