約8分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!
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X運用を始めたばかりの人に向けたノウハウが、いま定期的にバズっています。「リプをAIでやると嫌われる」「ハッシュタグは基本つけない」。どちらも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
先に私の結論をお伝えします。この2つは、もう好き嫌いの話ではありません。Xの側がすでに仕様で線を引いていて、答え合わせができる状態になっています。ただし、その線の引かれ方は、多くの人が思っているものとは少し違います。
きっかけは、2026年9月10日の早朝に投稿された一覧でした。「X運用を始めたばかりの人が知らないと損すること」というタイトルで、番号を振ったノウハウが並んでいます。いいねが201件、返信が47件。表示回数は5,653なので、いいね率にすると3.5%前後です。この種の投稿としては高い反応でした。
確認できたのは6項目。音声入力で時短、リストとコマンドで時短、フォローは自分からする、リプしてる人は絶対伸びる、リプをAIでやると嫌われる、ハッシュタグは基本つけない。タイトルには10選とありましたが、取得できた範囲ではここまででした。
読んでいて思ったのは、この6つは同じ種類のものではない、ということです。前半の4つは、やるかやらないかの話です。音声入力を使うかどうかに、正解はありません。ところが後半の2つだけは違います。「AIでリプすると嫌われる」「ハッシュタグは基本つけない」は、好みではなく事実の主張です。そして事実の主張である以上、確かめることができます。
まず、同意できるところから書きます。「リプしてる人は絶対伸びる」は、私の実感にも近いところがあります。ただ、全部に返さなければいけないという話ではありません。大事なのは返した数ではなく、リプが返ってくる可能性が高いアカウントかどうか。そういうアカウントの投稿は、やはり伸びる傾向があります。
これは感覚だけの話でもないようです。2026年8月13日、Xはおすすめ欄の並び順を決めるコードに、実際に使われている重みの数値まで加えて公開しました。公開された値を見ると、いいねが0.5に対して、返信は5.0。相互フォローの相手の投稿であれば、実質20.0まで上がるとされています。いいねと返信では、評価の重さが10倍から40倍ほど違うということです。会話が起きそうな投稿ほど前に出る設計になっている、と読めます。
一方で、引っかかったのは「リプをAIでやると嫌われる」のほうです。AIにリプを書かせること自体は、私は別に構わないと思っています。まずいのは、文面が機械的すぎて「これはAIなのでは」と相手に気づかれたときです。そこで一気に冷める。嫌われるかどうかの前に、まず冷めるのだと思っています。
だからうちでは、文章はAIに作らせて、人がレビューしてから出す形にしています。Xのアカウントでは、記事が公開されると、その内容をAIが読んで投稿の原案を作ります。ただ、できあがった原案はSlackに流れてくるだけで、そのままXには出ません。人が持っているのは、出すか出さないかの判断と、最後の微調整だけです。
体感で、半分くらいは手を入れてから投稿しています。裏を返せば、原案の半分はそのままでは出せない。よく直すのは、記事に書いていないことを断定している箇所です。記事の中では「〜と見られる」で止めているのに、投稿の原案では言い切りになっている。もうひとつは、そのニュースでなくても成立してしまう一般論になっているときです。ここは必ず、その記事にしかない具体に差し替えます。
なお、この話には別の角度からも決着がついています。報道によれば、Xは2026年2月24日、API(外部のプログラムからXを操作するための仕組み)経由の返信に制限をかけると発表しました。プログラムから返信できるのは、元の投稿者が自分をメンションしたか、自分の投稿を引用したときだけ。理由として挙げられていたのは、文章を自動生成するAIによる返信スパムの増加でした。プログラムで機械的にリプを配る運用は、好かれるかどうかを議論する前に、もう通らなくなっています。
もうひとつの項目も見ておきます。ハッシュタグについては、リーチが広がるという考え方と、むしろ評価を下げるという考え方の両方が長く語られてきました。ただ、ハッシュタグにはもともと2つの役割があります。見せるためのタグと、数えるためのタグです。
前者は、今のXではほぼ役目を終えています。報道によれば、2025年6月27日以降、ハッシュタグを含む広告の配信が順次停止されました。私自身が運用していて実感するのは、その先です。ハッシュタグの付いた投稿は、ブースト(すでに出した投稿をお金で広げる機能)の設定すら通りません。タグの付いた通常投稿はブーストの対象外になったと報じられていて、私が見ている画面の挙動とも一致します。お金を払って広げる経路から、ハッシュタグは外されている。この状態で「つけると広がる」という前提は、もう成り立たないと思っています。
ただし、後者は今も必要です。キャンペーンでは、タグが応募の条件であり、参加した投稿を数えるための唯一の目印になります。ここでハッシュタグを外すと、誰がどれだけ参加したのかを追う手段がなくなります。私たちが企業のキャンペーンを集計するときも、結局そのタグを軸に数えています。
つまり判断軸は「つけるかどうか」ではありません。そのタグは見せるためか、数えるためか。そして今のところ、数えるために必要になる場面は、実質キャンペーンだけです。ちなみに、リプライにハッシュタグを付ける文化はほとんどないので、この議論は通常の投稿についてのものだと考えています。
では、初心者が最初に知っておくと効くことは何か。私が代理店や事業会社の担当者によく伝えているのは、1回の投稿で伸ばそうとしないことです。
投稿は、出した瞬間に見てもらえるとは限りません。多くの人は1日に何度かSNSを開いて、おすすめを数回スクロールして閉じているはずです。その数スクロールに入らなければ、どれだけ良い投稿でも、無かったのと同じになってしまいます。
だからイベントやキャンペーンのときは、接触の機会を複数作ることをおすすめしています。たとえば引用リポストを3時間おきに挟む。同じ告知でも、1回で終えるのと、時間をずらして何度か出すのとでは、届く人数が変わってきます。
ただ、同じ告知を何度も流せばいいわけではありません。回数そのものが目的になると、すぐにしつこくなります。うまくいくのは、情報を少しずつ解禁していく形です。1週間ほどの余裕を持たせて、企画の中身を小出しにしていく。接触の回数は増えるのに、受け取る側から見れば毎回新しい情報なので、しつこさが出ません。
そして、効いたかどうかは自分のアカウントで確かめられます。最初に見るなら、表示回数に対するいいねの割合で十分です。何人に見られて、そのうち何人が反応したか。これだけで、そもそも届かなかったのか、届いたうえで刺さらなかったのかが見分けられます。冒頭のリスト投稿でいえば、5,653回表示されていいねが201件、3.5%前後。この数字が出せるだけで、次の投稿の打ち手が変わってきます。
「AIでリプすると嫌われる」「ハッシュタグは基本つけない」。どちらも持論として語られてきましたが、片方はAPIの仕様で、もう片方は広告の仕様で、すでに線が引かれていました。AIに書かせること自体が問題なのではなく、誰も読まずに出すことが問題なのだと思っています。ハッシュタグも、つけるかつけないかではなく、見せるためか数えるためかで分かれます。
初心者向けのノウハウが厄介なのは、確かめられる事実と、その人の好みが、同じ番号で並んでしまうところです。読む側からは、どちらも同じ強さの助言に見えてしまいます。それでも、あのリストが200件を超えるいいねを集めたこと自体は、良いことだと思っています。困っていることが言葉になっているからこそ、これだけ反応が集まった。あとは、そのうちのどれが仕様の話で、どれが自分のアカウントで確かめる話なのかを分けるだけです。