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SNSマーケティング

AI表示義務は、いずれSNS運用にも来る——選挙SNS法から考える、企業が今できる備え

AI博士

約6分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!

選挙をきっかけに始まったルールが、やがて日常のSNS運用にも降りてくる。2026年6月に可決された選挙SNS偽情報対策法案を見て、私が一番そう感じたのは「AI生成コンテンツの表示義務」でした。これは選挙に限った話ではなく、いずれ広告や通常の投稿にも及んでくると思っています。とはいえ、今から身構える必要はありません。大事なのは、慌てないための準備を一つだけ整えておくことです。

まず、何が決まったのか

2026年6月25日、衆議院の政治改革特別委員会で、選挙期間中のSNS偽情報対策法案が全会一致で可決されました。与野党が共同で提出した異例の形で進み、施行は2027年3月1日を目指しています。次の統一地方選を見据えたスケジュールです。

法案の骨子は大きく2つです。一つは、選挙の公正を害する情報を拡散したアカウントに対する「収益化の停止」。XのサブスクリプションやYouTubeの広告収益のような仕組みを持つアカウントが対象で、刑事罰こそないものの、「お金が止まる」という設計が発信者の行動を変えうる、という考え方です。もう一つが、生成AIで作られた選挙関連の画像や動画に「AI作成」と明示させる表示義務です。実際の撮影と誤認される恐れがある場合には、特に注意表示が求められます。大規模なプラットフォームには、悪影響を軽減する措置を講じ、年1回その結果を公表することも義務づけられました。背景にあるのは、2024年11月の兵庫県知事選で、SNS上のデマが選挙に影響を与えたと指摘された出来事です。

私が一番引っかかったのは「AI表示義務」

このニュースの中で、企業のSNS運用に効いてくると私が感じたのは、収益停止よりもAI表示義務のほうでした。今はまだ選挙が対象ですが、今後は広告や記事にAIで生成したことを表示する義務が、選挙に関わらず必ず必要になってくると考えています。SNS運用の現場でいえば、投稿する画像や、AIで作成した文章にまで表示義務が及んでくる可能性は十分にあると思います。

なぜ表示義務が必要になるのか。理由はシンプルで、AIには人を騙してしまう力があるからです。ここで一つ、私なりの線引きをお伝えします。表示が要るかどうかの軸は「実在すると誤認させるかどうか」だと思っています。実写の写真や本人の発言のように見えるAI画像・音声は、人を誤解させる力が強いので、表示したほうがよいと思います。一方で、明らかにイラストと分かる装飾的な画像や、補助的に文章を整えた程度のものは、そこまで神経質にならなくてよいと考えています。受け手が事実だと信じ込んでしまうリスクがあるか。そこが判断の分かれ目です。ただ正直に言えば、AIの精度は上がり続けているので、生成物かどうかをユーザーが見極めること自体が、年々難しくなっています。

「選挙だから関係ない」では済まない理由

この流れは、日本の選挙領域だけの特殊な話ではありません。EUでは「AI法(EU AI Act)」の透明性ルールがすでに動き出していて、実写と見分けがつかないディープフェイクなどのAI生成物には、AIで作られたものだと明示する義務が課されています。しかもその対象は、広告主や代理店、SNSを運用するブランド、企業の広報にまで及ぶと整理されています。世界の潮流として、AIの表示義務は選挙から一般のマーケティングへと広がりつつある、ということです。

だとすれば、日本でも同じ議論が起きるのは時間の問題かもしれません。もっとも、私はすぐに全てが変わるとは思っていません。すべての画像や文章に表示義務を課すのは現実的ではないので、ルールの整備には相応の時間がかかるはずです。今の段階で、AIを使ったかどうかを利用者が見分けるのは難しく、悪意のある使い方でない限り、過度に神経質になる必要はないと考えています。AIを使うこと自体は業務の効率化につながるので、大いに活用すればいいと思います。問題は、AIで人を騙すような使い方をすること。気をつけたいのは、その一点だけだと思っています。

では、今できる備えは何か

とはいえ、ブランドを大切にする企業であれば、リスク管理として「どの画像や文章にAIを使ったか」を管理しておくと安心です。難しく考える必要はありません。まずは、AIを使ったかどうかを記録に残すところから始めるのがよいと思います。たとえば、投稿を管理するシートにAI利用の有無の欄を一つ足す。画像なら、ファイル名や保存先から後でAI生成だと分かるようにしておく。完璧なルールを最初から作ろうとするより、記録さえ残っていれば、いざ義務化されたときに遡って対応できます。

表示義務が来たとき、きちんと表示する企業は、むしろ信頼を得られると思います。隠していたことが後から分かるほうが、ブランドにとってはずっと大きな痛手になるからです。AIの表示によってユーザーが安心するのであれば、表示することは企業にとってもメリットになります。だからこそ現段階では、XやInstagramの投稿にAI生成であることを必ずしも表示する必要はない、というのが私の考えです。もちろん、人を騙す意図のない投稿であることが前提です。今はまだ「AI=手抜き」という受け取られ方も一部に残っていますが、AIの活用が当たり前になるにつれて、その空気も変わっていくと感じています。

もう一点、選挙期間中の運用について実務的な注意を添えておきます。選挙のシーズンは、政治的な内容にできるだけ触れない、意見しない、というのが基本だと思います。政治は支持政党によって意見が分かれるため、企業の立場でそこに踏み込むのは、得るものよりリスクのほうが大きいからです。

まとめ

AI表示義務は、AIを縛るためではなく、人を騙さないための仕組みです。だからこそ恐れずにAIを活用しながら、「いつ表示を求められても大丈夫」な記録だけを整えておく。その準備が、これからの企業の信頼につながっていくと思います。

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