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Reelsが「続きを見せる」方向へ——短尺動画が単発バズから“積み重ね”に変わる

AI博士

約7分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!

短尺動画と聞くと、「一本がドンと跳ねて、フォロワーが一気に増える」——そんなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。ところが今、その常識が少しずつ変わろうとしています。MetaがReelsに「Series(シリーズ)」という新しい機能をテストし始めました。複数の動画を“続きもの”としてまとめる仕組みです。一本の打ち上げ花火から、続きを見てもらい、また戻ってきてもらう関係づくりへ。SNSの効果測定サービスを運営している立場から、このシフトが何を意味するのかを整理してみます。

Reelsに「シリーズ」という考え方が入ってきた

まず、何が始まったのかを押さえておきます。Reels(インスタやフェイスブックの短い縦型動画)に、複数の動画を“エピソード”としてひとつにまとめられる「Series」機能が登場します。新旧のReelsを束ねて、ひとつの“続きもの”として扱える仕組みです。視聴者は、フィードやReelsタブでそのうちの一話に出会うと、そこからタップでシリーズ全体に入り、続きを一気に見られます。前回の途中から再生したり、シリーズを保存して最新の更新を追いかけたりすることもできる。さらに、クリエイターのプロフィールには専用の「シリーズ」タブが新しく加わります。たとえば「健康的なお菓子作り10日間」のような企画を、10本まとめてひとつのシリーズにできる、というイメージです。2026年6月、一部のクリエイター向けに、InstagramとFacebookでテストが始まりました。

ここで面白いのは、「また見てもらう」ための動線が、いくつも用意されている点です。一話に出会った人は、わざわざプロフィールまで行かなくても、その場でシリーズに入って続きを一気に見られる。気に入れば保存やフォローで、次の回が出たときに戻ってくる。短い動画を“その場の一本”で終わらせず、続けて見てもらい、また戻ってきてもらう。その仕掛けが、機能としてきちんと組み込まれているのです。

そして、プロフィールに加わる「シリーズ」タブも見逃せません。これは新規の訪問者を呼び込む入口というより、来てくれた人が“他の連載も試せる”作品棚のような役割だと感じています。私はもともと、Instagramが「プロフィールへのアクセス」を一つの指標として大事にしているのを見て、このプラットフォームは“訪ねてもらうこと”を重視しているのだと考えていました。シリーズタブは、そのプロフィールを「ただの投稿一覧」から「作品が並ぶ棚」へと近づけ、回遊しやすくする。短尺動画が出尽くして“また戻ってきてもらう力”の奪い合いに移るなかで、MetaがYouTube的な「積み上げ」の発想を持ち込んできた——私はそう見ています。

「単発バズ」依存の、見えにくい弱点

これまでの短尺動画は、良くも悪くも“当たれば大きいが続かない”世界でした。ここに、私はずっと危うさを感じてきました。単発バズの一番の弱点は、“資産にならない”ことだと思っています。

一本が跳ねてフォロワーが一気に増えても、その人たちが「また見たい」と思う理由までは残りません。だから次が当たらないと、熱はすっと冷めていく。数字の上では華やかでも、関係が積み上がっていないのです。そして、バズの再生数やいいねを追うだけだと、この“関係が続いているかどうか”が見えてきません。シリーズ型のような積み重ねは、まさにそこを補ってくれます。一本ごとの大小に一喜一憂するのではなく、「この人の発信を追いかけたい」という、続いていくつながりを育ててくれるのだと感じています。

なぜシリーズは「ファン」を生むのか

シリーズ化が人をファンに変える鍵は、「続きがある」という一点だと思っています。続きがあると、人の中に“次への期待”が生まれます。その期待が、また戻ってくる理由になる。戻ってくることが何度か重なると、それは習慣になり、習慣になったころには、もう単なる視聴者ではなく「この人の発信を追いかけているファン」になっている。期待が再訪をつくり、再訪が習慣になり、習慣がファンを育てる。この静かな連鎖こそ、シリーズ化の効きどころだと感じています。

分かりやすい例が、いま中国で流行っている短編ドラマやAIドラマです。一話が短く、それでいて続きが気になる作りになっていて、人々が次々と次の話を追いかけていく。シリーズ化することで視聴者がファンになり、何度も戻ってくる。あの熱の作り方は、まさに「継続」の力です。一本の派手さではなく、小さな“次が気になる”を積み重ねていく。短尺動画のシリーズ機能も、同じ原理で効いてくるのだと思います。

向くアカウント、そうでないアカウント

ただ、すべてのアカウントがシリーズに向くわけではないとも思っています。シリーズが向くのは、“前回があるから今回が面白い”コンテンツです。料理や筋トレのようなノウハウの連載、商品ができるまでを追う物語、お店やブランドの成長記録、初心者がだんだん上達していく育成もの。回を追うごとに積み上がっていくテーマは、順番に見る価値があるので、シリーズと相性が抜群です。

ここで気をつけたいのは、“継続しているか”と“シリーズ向きか”は別だ、ということです。たとえばニュース系のアカウントは、毎日発信し続けるという意味では、立派に継続しています。でも、昨日のニュースを見ていないと今日のが分からない、ということはあまりありません。一本一本が独立した「流れ(ストリーム)」であって、順番に積み上がる「シリーズ」とは少し性質が違うのです。もちろん、ニュース系でも“特集”や“連載企画”の形にすれば、立派なシリーズになります。私の判断の軸はシンプルで、「回と回が前後でつながっていて、順番に見る価値があるか」。そこが生まれるなら向いているし、各回が独立して完結するなら、無理にシリーズの枠にはめなくてもいいと思っています。

効果測定の視点で、何を見ればいいか

シリーズに取り組むなら、見る数字も“一本単位”から“つながり単位”へ切り替えたいところです。一本の再生数やいいねだけを追っていると、積み重ねが効いているかは見えてきません。理想を言えば、その回を最後まで見てもらえたかという「完走率」、ある回を見た人が続けて次に進んだかという「次の回への遷移率」、そして「プロフィールへのアクセス」や「シリーズ保存からの再訪」、シリーズ全体での総視聴時間——こうした“また戻ってきてくれているか”を映す数字を、束ねて見たいところです。

ただ、正直にお伝えすると、私たちが今提供しているサービスでも、現在集めているデータでは、こうした“つながり”の指標まではまだ捉えきれていません。シリーズのような積み重ねを測るには、これまでとは違うデータの見方が要ります。だからこそ私たち自身も、今後のアカウント運用サポートの機能で、こういった継続のサインをきちんと計測できるようにしていきたいと考えているところです。プラットフォームが積み重ねを後押しするなら、それを測る道具のほうも、追いついていく必要があると感じています。

短尺動画はこれまで“一本のひらめき”の勝負でしたが、これからは“続きを設計する”力が効いてくると思っています。一本のバズに一喜一憂するより、「次も見たい」をどう積み重ねるか。その視点を持てる運用者やチームが、これからの時代は強いのではないかと感じています。

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