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SNSマーケティング

SK-IIの招待旅行はなぜ燃えたのか——「ステマ批判」では読み違える、インフルエンサー施策の本当の火種

AI博士

約5分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!

SK-IIがインフルエンサーを京都・滋賀の高級スポットに招待した投稿が、SNSで批判を集めました。多くの記事はこれを「PR表記なし=ステマ問題」として扱っています。けれど、私はこの読み方こそが本質を外していると思っています。今回の火種は、表記の有無ではありません。インフルエンサーが特別扱いされている、その構図そのものへの不快感です。同じことをする企業は今後も出てきます。だからこそ、論点を取り違えないことが大切だと考えています。

何が起きたのか

ことの発端は、あるユーザーの投稿でした。美容インフルエンサーの方々が、琵琶湖畔の宿やラグジュアリーホテル、酒蔵体験などをめぐり、SK-IIの製品を手にした写真をアップしていた。投稿は3,000を超えるいいねを集めましたが、同時に「贅沢すぎる」「買いたくなくなった」という声も広がりました。SK-II側からの公式コメントは、確認できる範囲では出ていません。

ここで多くの人が反射的に持ち出したのが、ステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝)の話です。日本では2023年10月の景品表示法改正で、企業が費用を負担して投稿させる場合、「PR」「広告」などの明示が義務づけられました。招待旅行のような体験型のギフティングも、投稿を依頼・指示していればこの対象に入ります。だから「PR表記がないのはステマでは」という指摘が出るのは、自然な流れではあります。

それでも、これはステマの話ではない

ただ、よく見てほしいのです。批判の火元になった投稿のリプライ欄には、はっきりとこう書かれていました。影響力のある人にPRしてもらうのは当たり前で、PRそのものが悪なのではない。ちゃんとPRと付いていれば、あとは消費者が見るか見ないかを選べばいい。そして、この人たちがステマをしているとも一言も言っていない、と。

つまり批判していた人自身が、ステマを問題にしていなかった。ここを読み飛ばすと、議論はまるごとズレてしまいます。では何が不快だったのか。私は、インフルエンサーを「接待している」ように見える、あの謎めいた豪華旅行の構図そのものだったと見ています。特別な人たちだけが、特別な場所で、特別なもてなしを受けている。その光景に、見ている側がざらりとした感情を抱いた。これがこの炎上の正体だと思っています。

なぜ「特別扱い」は不快感を生むのか

理由は、大きく二つが地続きになっていると考えています。

ひとつは、分配の不公平感です。その商品を実際に買って支えているのは、ふだんの消費者です。にもかかわらず、豪華なもてなしを受けているのは一部のインフルエンサーだけ。「自分たちが払ったお金で、あの人たちだけが」という感覚が、静かな反発につながります。

もうひとつは、ブランドがどちらを向いているか、という問題です。豪華な接待を前面に出すと、企業がお客さんではなくインフルエンサーのほうを大事にしているように見えてしまう。本来いちばん向き合うべき相手は、製品を買ってくれる生活者のはずです。その優先順位が逆さまに見えた瞬間、「私たちより、あの人たちが上なのか」という気持ちが生まれる。この二つは別々のようでいて、根は同じです。お金を払っている自分たちより、インフルエンサーのほうを上に見ている——そう受け取られた、ということだと思います。

では、どう見せれば燃えなかったのか

招待やギフティング自体は、インフルエンサー施策をやる以上なくなりません。問題は、施策の有無ではなく、その見せ方にあります。私が大事だと考えているのは、接待の色や豪華さを前面に出さず、商品の中身を主役に戻すことです。

今回のSK-IIには、実はちょうどいい文脈がありました。SK-IIの主成分であるピテラは、酒蔵の発酵技術から生まれたとされています。京都・滋賀で酒蔵体験をするという企画には、ブランドの起源をたどるという必然性があった。本来であれば、これは強い物語になりえたはずです。けれど実際に目立ってしまったのは、琵琶湖畔の高級宿や贅沢な体験のほうでした。中身ではなく、もてなしの豪華さが前に出てしまった。だから「接待」に見えた。もし発酵という商品の根っこを主役に据え、体験の豪華さを脇に置けていたら、受け取られ方はかなり違っていたのではないかと感じています。

中身が主役なら、人は接待だとは感じにくい。逆に、体験のきらびやかさが主役になると、たとえ正しくPRと表記していても、特別扱いの構図だけが目に焼きつきます。この差は、企画の段階でしか作り込めません。投稿が公開されてから慌てて消火するものではなく、何を主役にするかを最初に決めておく話だと思っています。

まとめ——分かれ目は「誰のほうを向いているか」

最後に、SNS運用にかかわる方へお伝えしたいことがあります。PR表記が必須なのは、もちろん大前提です。そこは省略できません。そのうえで言うと、インフルエンサー施策で燃えるかどうかの本当の分かれ目は、表記の有無ではないと思っています。ブランドが誰のほうを向いているか、それが透けて見えた瞬間です。豪華さで惹きつけようとすると、生活者は置き去りにされたと感じます。主役を、商品の中身に戻すこと。それが、特別扱いの不快感を消すいちばんの方法だと、私は考えています。

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