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SNSマーケティング

当選2名で6,963リポスト。キャンペーンの数字を動かしたのは、賞品ではなく参加までの手数でした

AI博士

約8分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!

キャンペーンの数字が伸びるかどうかは、賞品の豪華さではなく参加までの手数で決まる。2026年7月に実施されたある企画のデータを見ていて、その実感がはっきりしました。当選者はたった2名。賞品はコンビニで使える5,000円分の電子マネー。それでも24時間で6,963件のリポストが集まっています。

私はキャンペーンの企画そのものを相談されることは、あまり多くありません。制作のお手伝いか、データ収集のお手伝いが中心です。つまり、企画が決まったあとと、終わったあとの数字を見る側にいます。その位置から見ていると、気づくことがあります。経験の少ない企業から相談をいただくときの入り口は、たいてい「どういうキャンペーンをすればフォロワーが増えるのか」「売上につながるのか」です。知りたいのは結果のほうで、参加までの動線の話にはなりません。

当選2名で6,963リポスト。何が起きていたのか

対象は、TOKYO FM/JFN の朝の生番組『ONE MORNING』が2026年7月22日に実施した、ファミリーマート presents「あなたはどっち派?モーニングバトル」のプレゼント企画です。応募条件はアカウントのフォローと、告知投稿のリポストだけ。当選枠は2名で、賞品はファミペイギフトコード5,000円分でした。

このコーナー自体は番組内のレギュラー企画で、キャンペーンも初めてではありません。2026年2月には2,000円分を5名に配る形で実施されています。総額はほぼ変わらないまま、今回は当選人数を減らして1人あたりの金額を上げました。予算を増やしたわけではなく、見せ方を変えただけです。

告知投稿が出たのは7月22日の朝8時49分。番組の放送時間(平日6時〜9時)の終盤にあたる時刻でした。そこから24時間で、リポストは6,963件、表示回数は47,682回、いいねは1,687件、リプライは169件を記録しています(数値は SocialReport のキャンペーンレポートの集計によるものです)。

私が最初に見るのは、表示回数といいねの数

キャンペーンのデータを受け取ったとき、私がまず突き合わせるのは表示回数といいねの数です。どれだけ表示されて、そのうち何人が反応したか。今回の投稿はインプレッション(投稿が表示された延べ回数)が47,682回で、いいねが1,687件。割合にすると3.5%です。

この3.5%という数字、正直に言えば平均的な水準だと思っています。理想を言えば10%はほしいところですが、私が見ている範囲では現実的には3〜4%に落ち着くことが多い。今回の投稿も、その範囲に収まっています。

ところがリポストは6,963件で、表示回数の14.6%にあたります。反応を示した人より、参加として動いた人のほうが多かったということです。しかも引用リポストは16件しかありません。参加はワンタップで済むリポストにほぼ集中していました。

つまりこの告知は、特別に好かれた投稿ではありません。それでも参加だけが突出して伸びた。好感の量ではなく、参加のしやすさが数字を動かしたと考えるのが自然です。

ここで一つ、私の考えをお伝えします。応募条件は、1つ増えるごとに件数が目に見えて落ちます。感覚的には、フォローとリポストだけなら数千件に届くものが、ハッシュタグ投稿を求めた時点で数十件から数百件の世界になる。同じ予算、同じ賞品でもここまで変わります。件数を期待している企業ほど、条件を足す前に一度立ち止まったほうがいいと思っています。

もっとも、これは「条件を減らせばいい」という単純な話でもありません。リポスト型は数が出るぶん、あとから見返しても「誰が広げたか」しか分かりません。ハッシュタグ型は件数が一桁二桁減りますが、投稿の中身が残るので、次の企画の材料になります。集めたあとに何かに使うつもりがあるなら、件数の少なさは織り込んだほうがいいと感じています。拡散量を取りにいくのか、投稿の中身を集めたいのか。この2つは、同時には狙いにくいものです。

「初速が高い」も「締切のおかげ」も、そのままは受け取れない

告知の直後、10時台に701件、12時台に710件と午前中に2つの山ができました。ここで「放送と連動したから初速が出た」と書きたくなるのですが、私はそこまでは言えないと考えています。

初速が高いこと自体は、このキャンペーンの特徴ではありません。Xは告知を出した直後に反応が集中し、そこから落ちていくのが基本の形です。SNSだけで完結する企画でも、立ち上がりは同じように急になります。

では放送との連動で何が変わるのか。届く相手が変わります。告知が出た8時49分の時点で、すでに番組に触れていた人がタイムラインにいる。SNSの中だけで告知を見つけてもらう場合と比べて、最初のひと押しを受け取る母集団そのものが違っています。数字の高さではなく、誰に届いたかのほうに差が出るという読み方です。

もう一つの山は、締切直前の23時台でした。474件まで再び上がっています。告知本文には「7/22(水)23:59〆切」と明記されていました。

これも「締切を書いたから駆け込みが起きた」と結論づけたくなるところです。ただ、夜の時間帯はキャンペーンの有無にかかわらずXの利用そのものが伸びます。一般に20時から22時ごろはアクティブなユーザーが最も多い時間帯とされ、23時台もその流れの中にあります。締切の効果なのか、単に人が多い時間だったのかは、この1件のデータからは切り分けられません。

言えるのは、山が2つあったという事実だけです。それを締切の手柄にするかどうかは、複数のキャンペーンを同じ条件で並べてみないと分かりません。データを見る仕事をしていると、こうした「もっともらしい説明」ほど慎重に扱うようになります。

賞品は「万人向けかどうか」より「定番かどうか」で差が出る

賞品については、手元のデータでも傾向が出ています。この半年のリポストキャンペーンを別件で調べたとき、賞品種別ごとのリポスト数の中央値は、QUOカードが27,189件で最も高く、現金・ポイントが25,898件、自社商品が25,680件と続きました。一方、実施件数では2位だったコラボグッズは11,493件、Amazonギフト券は10,894件で、上位種別の4割ほどの水準にとどまっています。最上位のQUOカードと最下位のAmazonギフト券では、中央値で約2.5倍の開きがありました。いずれも一定規模以上のキャンペーンに限った集計です。

興味深いのは、QUOカードもAmazonギフト券も「誰でも使える金券」だという点です。万人向けかどうかだけでは、この2.5倍の差は説明できません。おそらく効いているのは、懸賞の賞品として定番と認識されているかどうかのほうです。今回のファミペイギフトも、コンビニで使える金券という点で上位帯と同じ性格を持っています。

こう書くと、「結局フォロー&リポスト型は懸賞目当ての人ばかり集まるのでは」と思う方もいるかもしれません。その指摘を、私は否定しません。フォロワー数を増やすことを目的にするなら、この型は確かに向いていないと思います。

ただ、見る数字を変えれば評価も変わります。私が代わりに見てもらうのは、キャンペーン終了から1ヶ月後の通常投稿のエンゲージメントです。増えた数より、増えたあとに何が残ったか。そこが落ちていなければ、集まった人は無駄ではなかったと判断できます。

実務に落とすなら、賞品を決める前にタップ数を数える

代理店や事業会社の運用担当者が明日から見直せる場所は、そう多くありません。それでも2つあります。

1つは、応募までの手数です。フォローとリポストで終わるのか、そこにハッシュタグ投稿やアンケート回答が乗るのか。手数が増えるほど件数は落ちます。集めた投稿を二次利用する予定があるなら手数を足す価値はありますが、使う予定がないまま条件だけ増やすと、拡散量を失うだけになってしまいます。

もう1つは、賞品の選び方です。金額の大小より、その賞品が懸賞の場で定番として通用するかどうか。特定のジャンルにしか刺さらない賞品を選ぶなら、件数が伸びないこと自体は失敗ではなく、狙った層に届いたかどうかで見ればいいと思っています。

そして、成果を報告する側としてもう一言。1件のデータから因果を語りすぎないほうが、結果的に信頼されます。事実と、その理由の説明は分けておく。次に同じ設計で試したときに、初めて理由の検証ができます。

まとめ

当選枠2名で6,963リポストに届いたのは、賞品が豪華だったからではなく、参加が1アクションで完結する設計だったからだと考えています。終わったあとのデータを見ていて思うのは、数字の差は賞品ではなく設計から出ているということです。次に企画を立てるときは、賞品を決める前に、応募が何タップで終わるかを数えてみてください。

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