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SNSマーケティング

Xの休眠アカウント削除:SNS運用担当者が知っておきたいアカウント棚卸しのポイント

AI博士

約7分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!

まず知っておくべき:削除の前に「管轄外アカウントの洗い出し」が優先

2025年12月、X(旧Twitter)が約1,500万件の休眠アカウントを削除したことが複数のメディアで報告されています。さらに2026年第2四半期にも追加の削除が行われる可能性があるとされており、一時的な整理ではなく、継続的なポリシーとして定着しつつある流れです。

この状況でSNS運用担当者として最初に取り組むべきことは、削除対策よりも「そもそも自分が管理しているアカウントをすべて把握できているか」を確認することだと思っています。私がSocialReportを提供する中でお会いする担当者の中にも、「調べたら5〜6個アカウントがあった」と驚くケースは少なくなく、管轄外アカウントの問題は想像以上に身近なところで起きています。

削除の基準は「数年間まったく活動がないアカウント」

X社のヘルプセンターが示しているガイドラインは「30日に1回以上ログインすること」です。ただしイーロン・マスク氏が2023年に言及した際の実際の削除対象は「数年間まったく活動のないアカウント」とされており、30日ルールを即座の削除トリガーとして捉えるよりも「定期的にアクセスしていない状態を続けることはリスクになりうる」という目安として理解しておくのが適切です。

また、削除されたアカウントのユーザー名を再販売する「Handles Marketplace」の整備も進んでいます。2025年4月にコードから発見された段階では最低$10,000からの入札形式が想定されていましたが、実際にローンチされた際の価格体系は変わっており、Rareハンドル(短文字・人気ワード等)は$2,500〜という価格帯でXが価格を決める仕組みになっています。ドメインスクワッティングに近い問題が、SNSの世界でも現実的なリスクとして浮上してきた状況です。

代理店にこそ刺さる「管轄外アカウント」の盲点

「どのアカウントを自分たちが管理しているか全部把握できていない」という声は、商談の中で珍しくありません。特に中堅〜大手の事業会社では、キャンペーン用に作ったアカウントがそのまま放置されているケースが多く、担当者が変わるたびにアカウント情報が属人化してしまうことが主な原因です。パスワードやメールアドレスが誰もわからなくなっているケースさえありました。

代理店の管理ダッシュボードに登録されていないアカウントは当然見えませんから、知らないうちに削除対象になっていても誰も気づかない、という事態が起こり得ます。

削除より怖いリスク――放置アカウントの乗っ取り

代理店の担当者にリスクを説明するとき、私が最も強調するのは「乗っ取りによるなりすまし」です。放置アカウントはセキュリティ対策が古いまま放置されていることが多く、フィッシングやブランドを騙るスパムに悪用されやすい状態になっています。

「削除される」のはただ消えるだけですが、乗っ取られた場合はブランドイメージに直接ダメージが出ます。この違いをクライアントに伝えると、危機感の持ち方が変わることが多いです。特に認知度のあるブランドのアカウントは標的になりやすく、放置期間が長いほど注意が必要です。

ブランドハンドルの確保――今から優先すべき3つ

Handles Marketplaceが整備されていく中で、代理店としてクライアントに提案するハンドル確保の優先順位について私はこう考えています。最低限押さえるべきは「ブランド名」「サービス名」「代表者名」の3つです。特に「ブランド名の英語表記」と「略称」は第三者に先取りされるリスクが高く、優先度が上がります。

X上のユーザー名は、ホームページのドメインとほぼ同等の資産だと感じています。SocialReportの商談でも「自社ブランドのハンドルが取れていない」という企業に出会ったことがあり、そういう場合は早急な確保を提案してきました。

なお、削除されたアカウントのユーザー名がいつ再利用可能になるかをリアルタイムで把握する専用APIエンドポイントは、現時点では存在しません。現実的な監視方法としては、GET /2/users/by/username/{username} を定期的に叩いてレスポンスの変化(見つからない→見つかる)を検知するやり方が考えられます。ただしリアルタイム性はなく、数日おきの確認が現実的な頻度です。

棚卸しを進める実務的フロー

棚卸しとして現実的なのは、月次でスプレッドシートを使った全アカウントのチェックリスト管理です。ただしチェックリストを作る前に「誰がそのアカウントのパスワードを持っているか」を確認しておく必要があります。担当者退職時にパスワードが失われているケースでは、確認しようにもログインできないという事態になりかねません。認証情報の棚卸しが先にあってこそ、30日ログイン確認の運用が成り立ちます。

SocialReportでは現状、管理外アカウントの検知やログイン状況の一覧化まではカバーできていませんが、代理店ユーザーから要望として上がってくるテーマです。X APIで最終投稿情報を取得して定期的なバッチ処理で警告を出す仕組みは技術的には実現できる可能性があります。ただし利用しているAPIプランや権限によって取得できる情報の範囲が変わるため、実装する場合は事前の調査が必要です。

代理店としてクライアントへ展開する際には、「管轄外のクライアント自社アカウントにも確認を促す案内を送付する」「次回の削除に向けて今から準備する」という2点を伝えると、実務的なアクションにつなげやすいと思います。

プラットフォームの変化を「先手の提案」に変える

SocialReportを作っている立場上、プラットフォームの仕様変更を追うことは業務の一部になっています。X APIの仕様変更をいち早くキャッチして「今のうちにデータ取得方法を見直した方がいい」と提案できたことがあり、こういった先回りの情報提供が代理店との信頼構築につながると感じています。

公式Changelog・開発者フォーラム・海外メディアをRSSで一元管理して定期チェックするのが、仕組みとして現実的だと思います。網羅的に見るのは大変なので、AIを使って読むべき情報を絞り込み、裏付けまで確認した上でキャッチアップし続けることが、代理店として価値を届けるサイクルになるのではないでしょうか。

まとめ

Xの休眠アカウント削除は、管轄外アカウントや認証情報の属人化という「見えないリスク」を棚卸しするきっかけになりえます。削除される前に全アカウントを洗い出し、ブランドハンドルの確保まで視野に入れておくと、クライアントへの提案に厚みが生まれてくるかもしれません。

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