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SNS運用

「日本でXがNo.1」——マスクの一言の裏にある数字を、運用目線で読み解く

AI博士

約6分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!

ある朝、イーロン・マスク氏がXに投稿した一言が、日本のタイムラインを賑わせました。「日本ではXがどのソーシャルでもNo.1だ」。これに「確かに一番使っている」「イーロンに感謝」と共感が集まり、お祭りのような盛り上がりになりました。気持ちのいいニュースです。ただ、SNSの効果測定サービスを運営している私としては、この熱量に乗りきってしまう前に、その裏の数字を一度きちんと見ておきたいと思いました。「No.1」という言葉の正体は何なのか。そして、その数字を運用の現場でどう読めばいいのか。今回はそこを一緒に整理してみます。

マスクの一言に、日本のタイムラインが沸いた

正直に言えば、私も日本のユーザーの一人として「確かにそうだよな」と素直に頷きました。生活に根付いたサービスは、やはり強い。Xを閉じて別のことをやろうとしたのに、気づいたらまたXを開いている——そんな“半ば中毒”のような使い方をしている人も、少なくないはずです。それくらいXは日本の日常に食い込んでいます。

実際、データもそれを裏づけています。日本のXの月間アクティブユーザー(1か月に1回以上使う人)は、およそ6,700万〜7,100万人とされ、米国に次ぐ世界2位の規模です。世界的にはユーザー離れも語られるなかで、日本は例外的にXが強く根づいた市場だといえます。ただ、ここで一歩引いて見たいのが「No.1」という言葉です。気持ちがいいぶん、本来見るべき数字から目をそらさせる力もある。盛り上がっているときこそ、その裏で数字がどう動いているかを冷静に見たいと、私は感じています。

なぜ日本では、これほどXが強いのか

日本でXが強い理由としてよく語られるのは、匿名で本音を言える文化との相性です。これはそのとおりだと思います。そこに加えて私が感じるのは、日本人の“リアルタイム検索”の習慣の強さです。地震が起きた、電車が止まった、新商品が出た——「今まさに起きていること」を確かめたいとき、多くの人が反射的にXを開きます。テレビのニュースを待つより速い。この速報インフラとしての信頼が積み重なって、独特の根づき方を支えています。

ただ、Xの強さは情報だけではないとも思っています。同じ興味関心を持つ人とつながり、小さなコミュニティが自然に生まれる。自分の投稿に誰かが反応してくれる、あの気持ちよさ。承認欲求が満たされ、ネット上の居場所になっている。役立つ情報を得る場であると同時に、人とのつながりをXで満たしている人も多いのです。だからこそ、常にXを見ている人たちが絶えないのだと感じています。情報のインフラであり、同時に居場所でもある。この二重の強さが、日本のXを支えているように思います。

「No.1」の数字を、運用ではどう読むべきか

ここで注意したい点があります。総ユーザー数だけを見れば、実はLINEやYouTubeのほうがXを上回っています。つまり「No.1」とは、単純な人数の1位ではなく、「速報・議論の場」としての使われ方の強さを指していると考えたほうが正確です。運用の現場では、この違いを取り違えないことが大切だと感じています。

MAUは「市場の大きさ」を測る入口の数字ですが、これだけで優先度を決めるのは危ういと思っています。大事なのは“数”より“使われ方”だからです。私の中での整理を言えば、LINEは連絡網に近い生活インフラ、YouTubeは検索されて長く残る資産、Instagramは世界観をじっくり見せる場所、そしてXは速報と会話が飛び交う場所、というイメージです。

ここで一つの軸になるのが“情報の鮮度”です。Xは鮮度の高い情報が集まり、それを目当てに人が見にくる場所。だからこそ、即時性の高い情報を発信したいときには、Xの重要度がぐっと上がります。逆に、急がない・長く読まれたい情報なら、別の場所のほうが向いている。同じ「1万フォロワー」でも、プラットフォームが違えば意味はまるで変わります。だから私は、MAUの大小よりも、「そのプラットフォームで人は何をしに来ているのか」「出したい情報の鮮度に合っているか」を先に考えるようにしています。

作り手として見た「Xに依存する」ことのリスク

私はX(旧Twitter)のAPI——外部のサービスがXのデータを取得したり連携したりするための窓口——を、実際に開発で扱ってきました。その経験から痛感しているのは、ひとつのプラットフォームに強く依存することの怖さです。

記憶に新しいのは、X APIが大幅に有料化されたときのことです。報道によれば、2023年にこれまで無料だったAPIの方針が大きく変わり、無料枠は投稿中心のごく限られた範囲に絞られ、本格的な利用は月額有料のプランへと移行しました。この変更で、それまで無料のAPIを前提に動いていた連携ツールの一部が、使えなくなったり値上げを迫られたりしたと伝えられています。私自身も、その変化に振り回された一人でした。プラットフォーム側の都合ひとつで、運用の前提が一夜にして変わってしまう。これがプラットフォームに乗ることの、見えにくいリスクです。だからこそ私は、Xを活用しつつも「ここが急に使えなくなったら、どう動くか」という逃げ道を、いつも頭の片隅に置いておきたいと思っています。

では、Xにどこまで力を入れるか

「日本ではXが強い」と聞くと、すぐにXへ全力投球したくなります。けれど、目的や業種によって最適解は変わります。Xが強く効くのは、“即時性”や“話題になること”が売上やブランドに直結する分野です。時事性の高い商材、エンタメ、新商品の発表、キャンペーンなど、「今、話してもらうこと」に価値がある場合ですね。

一方で、他のSNSのほうが向くケースもあります。たとえば、住宅やBtoB(企業向け)のSaaS、スクールのように、高単価で検討に時間がかかり「使い方や中身をちゃんと見せたい」商材は、検索で長く残るYouTubeと相性がいい。アパレルやコスメ、飲食、旅行のように、ビジュアルや世界観がそのまま購買意欲につながる商材なら、Instagramが力を発揮します。美容室やクリニック、リピートが命の小売のように、「一度来た人にまた来てもらう」ことが鍵の商材なら、連絡網に近いLINEが効いてきます。私の判断の軸はシンプルで、「その商材にとって“即時性”が武器になるのか、それとも“じっくりした積み重ね”が武器になるのか」。ここを見極めると、Xにどこまで張るかが自然と決まってくると思っています。

「日本でNo.1」のような景気のいい言葉は、つい乗りたくなります。でも運用で本当に頼りになるのは、その言葉の裏で動いている数字を、自分の目で読み解く習慣のほうだと思っています。話題に踊らされず、数字を自分のものさしで見られる人が、最後は強いはずです。

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