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SNSの予算配分を考えるうえで、YouTubeをどう位置づけるかが問われる時期に来ています。 2024年7月、NielsenのデータでYouTubeはストリーミングサービスとして初めて月間首位(10.4%)に立ち、Netflixを上回りました。 リビングのテレビでYouTubeを流す光景が日常になり、「YouTube=若者のスマホコンテンツ」という認識は過去のものになっています。 The Anklerはこの状況を指して「YouTubeこそ最大のメディア企業である」と断言しましたが、これはSNS予算の配分を考えるうえで無視できない変化です。 この記事では、SocialReportの現場感覚から、「YouTubeへの予算移行が実際どう進んでいるか」「中規模クリエイターへの分散起用が増える理由」をお伝えします。
この数年で、YouTubeへの予算移行が明らかに増えてきた印象があります。 日本国内のインフルエンサーマーケティング市場は2024年に860億円規模に達し(前年比116%)、2025年には1,000億円超えが見込まれています。 YouTubeは、その成長を牽引するプラットフォームの一つです。
SocialReportの前身となるSNS効果測定サービスを始めた当初から、「YouTubeのレポートも自動化したい」という要望はありました。 ただ、ここ数年でその声が明らかに増えてきた印象があります。 以前はInstagramが計測の中心で、そこにX(Twitter)が加わる形でした。 それが今は、YouTuberを活用したインフルエンサーとの共同開発案件が増え、「投稿施策のレポート」というよりも「インフルエンサーの情報を横断的に見たい」という相談が増えています。 プラットフォームをまたいで複数のクリエイターをまとめて管理・分析したいというニーズが、以前より具体的になってきている感覚です。
チャンネル登録者100万人超のYouTuberへのタイアップ費用は、1本あたり200〜500万円以上が目安とされています。 中小企業や代理店の担当者が「予算的に難しい」と感じるのは、この数字を見れば自然な反応です。

一方、フォロワー1〜5万人クラスのクリエイターへのタイアップは10〜30万円程度とされており、費用の差は歴然です。 この価格差が、マイクロインフルエンサーへのシフトを後押ししています。
代理店から直接「大手は予算的に難しいので、エンゲージメントの高い人を探したい」という相談が増えています。 結果として、有名人1人ではなくフォロワー数万人クラスを複数起用する方向に動く案件が増えています。 これは感覚値だけではなく、データでも確認できることです。
フォロワー1〜3万人クラスのクリエイターは、10万人超のクリエイターよりエンゲージメント率が高いケースがよくあります。 複数の調査では、フォロワー1万人未満の層では4%前後、1万〜10万フォロワーの層では2〜3%台のエンゲージメント率が報告されており、メガインフルエンサーは約1%前後というデータが一般的です。
SocialReportで横断集計すると、大手1本より中規模複数の方がリーチの質(エンゲージメント率・コンバージョン率)が高いというデータが出ることがあります。 それをレポートに入れると代理店の担当者が「これ、クライアントに見せられる」と反応する場面があります。 費用対効果を数字で見せられるかどうかが、起用判断に直結しているようです。

複数のクリエイターを起用するほど、横断的な効果測定ツールの重要性も上がります。 「誰のどの投稿が効いたのか」を一か所で比較できる環境がないと、判断の根拠が感覚値に頼りがちになるためです。
YouTubeをどう分類するかという議論が、業界でときどき出てきます。 個人的には「もうどっちでもいい」と思っています。
大事なのは「視聴者がどこで何を見て、どんな判断をするか」であって、それがYouTubeで起きているなら予算を向けるべきという話です。 代理店にとっては「デジタル予算」と「マスメディア予算」の境界線を問い直すタイミングかもしれませんが、計測の観点では分類より「一緒に見られるかどうか」の方が実務上重要です。
SocialReportでは、YouTubeをSNSの一つとして他媒体と横並びで計測できることを価値として位置づけています。 「マスメディア扱いだからSNSツールで見なくていい」という棲み分けは崩していきたいと思っています。 個人が発信でき、コメントや反応が生まれ、コミュニティが形成される場所という意味では、SNSと呼ぶことに違和感はありません。
なお、YouTubeの指標対応については現在開発中で、2026年7月頃のリリースを目標に進めています。 他媒体との横断レポートに関する相談をいただいている方には、対応後に改めてお知らせできると思っています。
YouTubeが最大のメディア企業になったという事実は、SNS予算の配分を考えるうえで一つの転換点になっています。 トップクリエイターの単価上昇とミドルクリエイターの費用対効果の高さが同時に進む中で、「誰を・何人・どんな指標で選ぶか」を数字で語れる環境を整えることが、次の差別化につながると感じています。