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「隠されたロゴ」が3,500万回見られた——リーバイスがW杯の制約を笑いに変えた話

AI博士

約6分で読める記事です。ポイントをギュッとまとめましたので、ぜひ最後までどうぞ!

ブランドにとって、自社のロゴを隠されるのは、普通なら困った事態です。せっかくの看板が見えなくなってしまうのですから。ところが先日、ロゴを隠されたことをきっかけに、かえって世界中の注目を集めた会社がありました。ジーンズで知られるリーバイスです。

私はこの一件を見て、素直に「うまいなあ」と感心しました。困った状況を、一瞬で武器に変えている。しかも嫌味がなくて、見た人が思わず笑って応援したくなる。これは狙ってできる人と、できない人がはっきり分かれる類のうまさだと思います。今回はこの事例を、SNSを運用する立場から少し分解してみたいと思います。

何が起きたのか——FIFAの規制とリーバイスの返し技

まず、出来事を整理します。2026年のサッカーワールドカップには「クリーン・スタジアム」という規制があります。大会の公式スポンサー以外のロゴは、会場で隠さなければならない、というルールです。

会場の一つであるアメリカ・サンフランシスコの「リーバイス・スタジアム」も、その対象になりました。スタジアムの名前にもなっている巨大なリーバイスのロゴが、白い布で覆われたのです。普通ならここで「仕方ないか」と引き下がるところでしょう。

ところがリーバイスは違いました。報道によると、ロゴを覆う白い布を、自社ロゴの形(バットウィングと呼ばれる、コウモリの羽のような曲線)に合わせて成形したのです。つまり「隠されているのに、形でロゴと分かる」状態にした。さらに公式Instagramのアイコンを、その”覆われたロゴ”の画像に変更し、「Nobody’s Gonna Know(誰にもバレないさ)」という人気の音源をつけて動画を投稿しました。キャプションは「Welcoming the world to the beautiful(伏字)stadium!」。この動画は約3,570万回も再生され、「逆転の発想だ」「素晴らしいマーケティングだ」と称賛が集まりました。

何が一番うまかったのか

ここで、運用の視点から「何が効いたのか」を分解してみます。

私は、布をロゴの形にした一点に尽きると思っています。「隠されたのに、隠れていない」という矛盾が、面白さの核になっているからです。規制は守っている。でも誰が見てもリーバイスだと分かる。この絶妙なバランスが、見た人にクスッとした驚きを与えました。

そこに「Nobody’s Gonna Know(誰にもバレないさ)」という音源を重ねたセンスも見事でした。自分たちの不利な状況を、自分で笑い飛ばしている。この自虐が、嫌味なく刺さったのだと思います。批判でも言い訳でもなく、ただユーモアで返した。だからこそ、見た人は身構えずに楽しめたのではないでしょうか。

なぜ、普通の会社にはこれができないのか

こうして見ると簡単そうですが、同じことをやれる会社は決して多くありません。「うちもこういう投稿がしたい」と思っても、できない。その理由はどこにあるのでしょうか。

私は、壁は一つではなく、段階ごとにいくつもあると考えています。まず、そもそもこういう発想が出てくるか。次に、それを「面白い」と感じ取れる感性があるか。さらに、その思いつきをネタとして形にできるか。そして、社内で共有して周囲を納得させられるか。最後に、実際に世に出すところまで持っていけるか。このどの段階でも、企画は止まってしまいます。

「ブランドを崩したくない」という恐れや、社内の承認に時間がかかる「承認の壁」も、この各ステップのどこかで効いてきます。面白い投稿ほどスピードが命なのに、確認を回しているうちに旬を逃してしまう。リーバイスがすごいのは、この全段階を、品を保ったまま素早く越えたところにあると思います。

瞬時に動ける会社には、何があるのか

では逆に、リーバイスのように動ける会社には、どんな共通点があるのでしょうか。

私の見立てでは、ブランドの軸が明確で、現場に一定の裁量があること、この二つだと思っています。「うちは何者か」がしっかり固まっていると、多少遊んでも崩れない、という安心感があります。その安心感があるから、現場が思い切った判断をできる。逆に、軸が曖昧な会社ほど、攻めた投稿は怖くてできません。

ここで大きいのが、炎上への恐れです。攻めた投稿は、一歩間違えれば反発を招きます。それが怖くて動けない、という現場は本当に多いのです。この恐れを越えられるかどうかは、結局「自分たちのブランドへの信頼」があるかにかかっているのだと思います。自分たちの軸を信じられているからこそ、リーバイスは「これは大丈夫だ」と判断できた。瞬発力の裏には、土台への自信があるのですね。

規模が小さくても、持ち帰れること

「これは世界的ブランドだからできた話でしょう」と思う方もいるかもしれません。たしかにリーバイスだからこその影響力はあります。でも、フォロワーの少ないアカウントや中小企業でも、ここから持ち帰れる本質はあると思っています。

それは、「不利な状況こそ、ネタにできないか」と一度立ち止まって考えてみることです。予算や規模で大企業に勝てなくても、自分の弱みや制約を笑いに変える発想は、誰でも持つことができます。むしろ、小さなアカウントの方が、思い切った自虐は刺さりやすい面さえあると感じています。

正直に言えば、自虐をネタにするのは簡単ではありません。さじ加減を間違えれば、ただ痛々しくなってしまう。けれど、それがうまく話題になったときのパワーは、計り知れないものがあります。私は以前、佐賀県のメルヘン村が自虐的な投稿で話題になった事例についてもコラムを書きました。規模に関係なく、矢印を自分に向けた笑いには、人を惹きつける力があるのです。

まとめ

リーバイスの一件は、制約をどう受け止めるかで結果がまるで変わる、ということを教えてくれます。隠されたロゴを嘆くのではなく、笑いに変えてしまう。その発想の柔らかさと、それを実行に移せる土台の強さこそ、今のSNS運用で問われている力なのだと感じています。

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